私の生活作法 花鳥風月を友にして


by yuuyuu1122
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苦木(ニガキ)

苦木(ニガキ)_f0221612_16462990.jpg 昨日は苦草(ニガクサ)のことを書いたので、今日は苦木(ニガキ)についてである。といっても、この両者、全く関係はない。
 苦木は、ニガキ科ニガキ属の落葉高木で、東アジアの温帯から熱帯に分布する植物である。兵庫県が発行した『兵庫県の樹木誌』によると、「北海道から沖縄の低地の林内に見られ、県下では山地にやや稀に分布している」とある。
 我が家の周辺では、全く見かけない木であるが、何故か我が家に生えている。故郷を離れて四十数年、他郷を転々としている間に、鳥に運ばれてきて、我が屋敷の一角で生息することになったのだろう。
 ただ、この木、運の良いことに、崩れかかった古い家を潰して、新しく家を造るために、屋敷を更地化したのだけれど、たまたま更地化の範囲外であったので、切られずに残ってしまった。しかし、この木は、美しい花を咲かせるわけでもなく、葉が綺麗なわけでもなく、美味しい果実を実らせるわけでもないのに、新築なった我が家の正面辺りにデンと突っ立っているのが、何となく気にかかる。
 〈この機、何の木?〉と調べてみると、どうやら苦木らしいということが分かった。枝や葉は噛むと非常に苦い。
苦木(ニガキ)_f0221612_1648183.jpg

 【苦木のプロフィール】
 樹高は、10~15メートル。〈写真のものは、一度2.5メートル辺りで切っている〉
 葉は、枝に互生し、奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう)で、長さは15~25センチ。小葉は、7~13枚が対生し、形は広披針形で、先端は尖る。小葉の長さは、3~7センチで、縁は鋭鋸歯である。
花は、葉腋から花序軸を出し、集散花序の黄緑色の小花を多数つける。目立たない花である。花期は4~5月。
果実は、楕円形の核果で、緑藍色に熟す。
樹皮は、暗褐色で、滑らか。老木になると、縦に裂ける。
名は、幹も枝も葉もすべての部分に強い苦味があるところから、付けられた。苦いのは、クワッシン、ニガキラクトンなどの苦味成分が含まれているからである。
苦木(ニガキ)_f0221612_16494721.jpg
 樹皮を乾燥させたものは、生薬の苦木(ニガキ・クボク)で、健胃剤として利用される。また、樹皮や葉を乾燥させたものを煮出し、その汁を天然の殺虫剤として、農作物や家畜へ散布するという利用方法もあるようである。

ということで、一度は、目障りだから伐採しようかと思ったのだが、苦木の効用のあらたかさに着目し、寸を縮めるだけにして置いている。


草刈機村方々で弾けをり     和樽
by yuuyuu1122 | 2010-07-28 16:51 | 樹木