ツマグロヒョウモン(妻黒豹紋)
2010年 10月 06日
そこで、抜き足差し足で近づき、腰に付けたコンパクトカメラを引き抜いて、何とか撮影に成功した。
調べてみると、ツマグロヒョウモン(妻黒豹紋)というタテハチョウ科の蝶である。この蝶は、もともと南方系の蝶で暖かい所を好むが、ナガサキアゲハ同様、その生活圏を、徐々に日本列島を北東へ広げていて、『ヤマケイ・ポケットガイド⑨チョウ・ガ』(山と渓谷社)の1999年4月20日発行本では「三重県以西」となっているが、2010年9月20日付朝日新聞(asahi.com)では、「関東地方に大量に入り込み、定着している」という。
その理由として、地球の温暖化の影響が考えられるが、他に、幼虫の食卓がパンジーなどスミレ類なので、卵が付着した園芸植物の流通にしたがって拡大したとも見られている。
写真のツマグロヒョウモンは雌であるが、この雌の翅の模様は、奄美大島以南に棲むカバマダラという毒を持つ蝶によく似ている。カバマダラの幼虫はトウワタという有毒植物を食べて育つ為に、成蝶になっても体内に毒素が残り、これを食った小鳥は七転八倒の苦しみを味わい、二度とカバマダラを襲わないということである。それで、ツマグロヒョウモンは、小鳥から身を守るために、翅の模様をカバマダラに似せた(擬態)のである。
ただ、トウワタという有毒植物は、本州辺りでは気温が低く育たないので、毒蝶カバマダラも生存しない。だから、ツマグロヒョウモンの雌の苦心もこちらでは役に立たないようである。
日当りを選びて飛べり秋の蝶 和樽