苗代苺(ナワシロイチゴ)
2010年 07月 05日
廃屋となった屋敷の垣根に木苺が実っている。見たとたん冬苺を思い出すが、今は夏、同じバラ科キイチゴ属の仲間で、苗代苺(ナワシロイチゴ)である。名前の由来は、苗代の時期に果実が熟し出すのでこの名がついたと云われるが、実際は、苗代の頃は花が咲き始める頃で、実がなり始めるのは6月も下旬以降である。
花は、紫がかった桃色である。はっきりと開花せず、蕾のままで押し通しているように見える。だから、花虻や蜂は蕾を押し開けるようにして蜜を吸っている。その点、蝶は長いストローを持っているから蜜を吸うには有利である。あるいは、苗代苺の花は、蝶の来訪を望んであるのかもしれない。
果実は、爽やかな酸味と、仄かな甘味があるというが、食べてみると強烈な酸味と苦味が同居しているような味がする。冬苺のほうが美味しい。苗代苺は、ジャムにすれば良いかもしれないが、粒が小さいので集めるのが大変であろう。冷し素麺の上に、彩りとして散らしたら良いという人がいるが、これはやってみる価値がありそうである。
梅雨の雲割れて日矢射す鳥の群 和樽