黄檗(キハダ)
2010年 07月 29日
※「羽状複葉」とは、軸に沿って、小葉が左右両側に付いている複葉のことで、先端におまけのように
1枚の小葉があるものを「奇数羽状複葉」、無いものを「偶数羽状複葉」という。
黄檗(キハダ)は、ミカン科キハダ属の落葉高木で、樹高は20メートル以上にもなる。花は5~7月に咲く。円錐花序の小さな黄色い花で目立たない。果実は球果で、秋に黒色に熟する。噛めば、苦い味がする。
樹皮は灰色で、縦に浅く裂ける。コルク層がよく発達している。内皮は鮮黄色で、舐めると苦い。黄色い内皮をもつため、キハダ(黄肌)と呼ばれる。この樹皮からコルク質を取り除いて乾燥させたものが、生薬の黄檗(おうばく、黄柏)で、主に健胃整腸剤として用いられ、これを原料としたものに、吉野の「陀羅尼助」や木曾の「御百草」などがある。
黄檗(キハダ)は、黄蘗色(きはだいろ)とよばれる鮮やかな黄色の染料で、黄色に染め上げる以外に赤や緑色の下染めにも利用される。また、防虫作用があることから,かつては、長期間保存する必要がある経典,戸籍帳,薬物書,医方書などの紙を染色するのに使用された。
この黄檗(キハダ)の木は、二代目である。その昔、牛は、農家の家族の一員として、農耕に従事していたが、牛が下痢をしたり、食欲不振になると、近くに生えていた黄檗(キハダ)の樹皮を剥いで来て、これを煎じて飲ませた。その木は、太く大きな木で、幹のあちこちに皮が剥ぎ取られた痕が残り、牛の病気治療に度々役立ってきたことを物語っていた。そういう木であったが、中国縦貫道路建設の際、あっけなくこの世から姿を消してしまった。
それから20年ばかり経ったある日、姫路駅前の商店街の中の園芸店で、黄檗(キハダ)の苗を見つけた。〈こんなもん、買う人おるんやろか〉と思いながら、懐かしさのあまり、私は買ってしまっていた。それが、今グングンと成長している二代目黄檗(キハダ)である。
草刈って牛の一頭欲しくなり 中尾武久
という句があるが、私は「黄檗植え牛の一頭欲しくなり」という気持である。
稲の花見るステテコの男かな 和樽